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雪花伽

たぬきと添い寝したい。

『うそつき、うそつき』清水杜氏彦〜ぼくのやったことは正義だったのか

社会に殺された人々の話。

 

最近読んだ『ハーモニー』もディストピア小説でしたが、そちらは見方によればハッピーエンドとも言えるのに対し、こちらはひたすらに残酷。

 

国民全員に嘘発見器、通称「首輪」の着用が義務付けられた未来。

主人公のフラノは、そんな首輪を違法に除去する仕事で生計を立てている。

 

首輪の除去には死のリスクが伴っており、正義のために自分の技術を使う、というある意味若者らしい夢を持っていた主人公も、

依頼人を生かしたり殺したり、親友の死を経たりして、たくましく、また薄汚れていく。

 

首輪を外してほしいと依頼してくる人は大抵犯罪者なんですが、犯罪を犯していない普通の人もいます。

でも結婚詐欺師の女みたいに、犯罪者と言われる人のほうがなんか憎めなかったり、逆に一般人なのに胸糞悪い人がいたりするのが面白いなと。

 

この作品のテーマは「正義とは何か?」だと私は解釈しました。

『嘘』とはいっても、人を傷つけないための嘘などもあって、嘘には一概には悪と言えない部分があると思います。

依頼人の描写もその一つで、いいと言われているものは全部いいのか、悪いと言われているものは全部悪いのか、という揺らぎみたいな部分を問うている。

 

すごいのが、これだけ首輪が普及して嘘が見抜ける時代になったというのに、

ある登場人物2人の言っていることが真実か嘘か全く分からなくなってくること。

 

それにしても最近思うのが、ミステリー作家って推理小説じゃないものを書くときでもガチガチに伏線が張ってあって、ミステリー畑出身だってすぐ分かる気がします。

一応この作品はアガサ・クリスティー賞を受賞しているようです。

 

お疲れ様です。