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雪花伽

たぬきと添い寝したい。

美術史の話10:立体主義・野獣派・+素朴派〜セザンヌって実はすごい

立体主義

野獣派

+素朴派

 その前に、セザンヌの果たした役割を見ていきたいと思います。

 

 日本では下手だ、と不遇なセザンヌ(日本の美術館が持ってないからという説も。)ですが、“近代絵画の父”と呼ばれる美術史上重要な画家です。

 デッサンの正確さよりも、こっちのほうが美しいから、と変形させまくっている、いわば、書道や音楽のような絵画?

 

セザンヌ物語

 親友・エミール・ゾラの誘いで、故郷・プロヴァンスからパリへ上京し、さりげに第一回印象派展に参加してみたりするものの、都会暮らしが合わず故郷へ。

 ↓

 印象派に欠けていた、「形態」「量感」「秩序だった構図」「空間性」を導入。

 セザンヌ「俺は印象派を美術館の芸術のように堅固で永続的なものにしたい」

 ルノワールとは仲良しで、スランプ中に一緒に制作もしています。

 コミュ障だったようです。

 

セザンヌの芸術観

1.自然を描きつつも、自らの感覚に従って自然から自立した秩序ある永続的イメージを構築。

 幾何学によって秩序ある構図を目指しました。

 

2.アンチ・モダニズム

 田舎に引きこもったセザンヌは、印象派のように都市生活ではなく、自然を描きました、

 機械化・産業化・標準化の世にあって、人の「感覚」に根ざした造形を行ったのです。

 

セザンヌとゾラ

 セザンヌの親友に、フランス近代文学を代表する作家、エミール・ゾラがいます。

 マネの《エミール・ゾラの肖像》で有名です。

 都会っ子のゾラは、引っ越してきたプロヴァンスの訛りを話すことができず、言葉がおかしいといじめられていました。それをセザンヌが助けたのがきっかけで親友になりました。

 後に、セザンヌや他の印象派の画家たちをモデルにした?「売れない画家が自殺する」という内容の小説を送りつけ、二人は絶交してしまいます。

 実は絶交していなかったという説もあるそうです。

 

Q.立体主義・野獣派とは?

 そんなセザンヌを慕う、二人の若き芸術家がいました。

 パブロ・ピカソは「父」と、

 アンリ・マティスは「先生」

 と呼びました。

 

 彼らはセザンヌの絵画の中のそれぞれ違う要素を純化し、別々の方向へ進んでいきました。

 立体主義・野獣派はともにセザンヌから始まり、それぞれの道を歩んでいったのです。

 

 関係図はこんな感じです。

・立体主義

 形態の開放

  ↑

セザンヌ

  ↓

・野獣派

 色彩の開放←ゴッホゴーギャン・新印象派

 

立体主義(キュビスム

 1907-08年、ピカソとブラックにより始まりました。

 自然を再現することをやめ、多視点により絵画に時間性を導入しました。

 

キュビスムの流れ

1.プロトキュビスム

 セザンヌから出発し、幾何学的に単純化した形態で構成。

 色彩の抑制。

2.分析的キュビスム

 閉じた形態の解体。遠近法など、写実のための技法を放棄。

 色彩の抑制。

3.総合的キュビスム

 色彩の開放。

 コラージュ(古新聞や楽譜の切れ端、ラベル、ひも、籐椅子の一部、砂など、日常生活に転がっている物体を絵画(平面)に持ち込む。

 オルフィスムがこれらを1914年頃まで推し進め、純化していきます。

 

野獣派

 野獣派という名前の由来は、マティス作品を見た批評家の、

「まるで野獣の檻だ」

 に由来します。

 フランスの批評家って詩的ですね。

 

技法

1.固有色を無視し、原色を使用。

 《緑の筋のあるマティス夫人》は当時、何で人の顔に緑の筋があるのかと酷評されました。

 

2.動きに満ちた不規則な筆触により、近代生活のスピード・リズムを描き出す。

 近代ひゃっほーな一派です。

 

 セザンヌ、見直したでしょう?

 ところで、もう一人、ピカソが一目置いている画家がいました。

 元・税関吏、アンリ・ルソーです。

 

Q.素朴派とは?

 アカデミックな美術教育を受けていない、独学の素人による芸術です。

 それまでは、「画家=白人男性で美術教育を受けた者」でした。

 印象主義の時代でも、女性であるベルト・モリゾやメアリー・カサットは、女性であるというだけで苦労していたようです。

 素朴派は、現代芸術における「プリミティズム」に繋がっていきます。

 素人・子供・女性・非西洋人・障害者といったマイノリティーによる芸術の市民権獲得に寄与しました。

 

 ーールソーを讃える夕べ。

 この中で本当にルソーを尊敬していたのは何人いたのか。面白がって祭り上げていただけなのではないか。

 ピカソは心から認めていたっぽいですが、闇です。

 

おすすめの本を紹介しておきます。

・「楽園のカンヴァス」原田マハ(新潮社)

・「制作」エミール・ゾラ岩波文庫

 

まとめ

セザンヌ

 自らの「感覚」に従い、自然から自立した堅固で秩序立った形態を描く。

・立体主義

 1908~1908

 ピカソ、ブラックがセザンヌ幾何学他視点に影響を受ける。

・野獣派

 固有色を無視し、色彩を開放。近代性を謳歌。

・素朴派

 アカデミックな教育を受けていない人たち。

 いわゆるヘタウマ。

 

お疲れ様です。