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雪花伽

たぬきと添い寝したい。

近代美術史の話1:新古典主義〜男はつらいよ・ナポレオンかっこいい・背中フェチ

新古典主義

 新古典主義は中世美術に括られることも多いですが、このあと述べる「個人」に最大の価値を置く近代美術の萌芽を見ることができます。

 3つの段階を追って見ていきます。

 

・第一期

 18c末、古代遺跡・ヘルクラネウムの発掘を期に、古代(ギリシャ・ローマ)ブームが起こりました。

 また、実はこれの前代はロココ美術であり、ロココの女性的・繊細さ・華美さの反動として、男性的で厳粛な古代様式が見直されるようになります。

 

 美術表現には、18c末の啓蒙主義思想や、1789年のフランス革命による社会情勢の変化が影響を与えました。

 

 王様→ぐみんども

 

 という構図だったのが、王が追放されることで、

 王の下の名も無き群衆→それぞれの顔を持つ「個人」として歩き出さなければならないことになったのです。

 しかしながら、「集団の中に生きていた人間存在」が「個人として生きる人間存在」に急に変われと言われても、変わることはできませんよね。

 そこらへんの社会的な歪みが美術作品にも表れており、「個人と集団の葛藤」は良く取り上げられました。

 

ジャック・ルイ・ダヴィッド

《ブルートゥス邸に息子たちの遺骸を運ぶ警士たち》

 

 新古典主義の絵画は、主にローマ時代の歴史を主題にしています。

 この作品は、執政官・ブルートゥスの元に、反逆を企てた息子たちの遺体が運ばれてくる場面を描いています。水平・垂直が効いた厳粛な画面です。

 この絵を二分すると、右側には我が子の死を嘆く女性が劇的に。

 左側は社会的な存在として、息子たちを裁かなければならない父親としての深い苦悩が、静的に描かれています。

 このように、「男性性と女性性の葛藤」「公と私の葛藤」が取り上げられました。

 いつの時代も女性と違って、面子がある男はつらいのです。

 

・第二期

 この時代は「ナポレオンかっこいい」と覚えておけば十分です。

 絶対王政が倒れ、ナポレオン1世による独裁政治が行われた軍事政権の時期。

 ナポレオン好みの絵をお抱えの画家に描かせました。

 

・第三期

 産業革命により、ブルジョワが台頭しました。

 侵略戦争植民地主義による中近東のオリエンタリスムが紹介され、ブルジョワ好みのエキゾチックで耽美主義的な作風です。

 ドミニク・アングル《グランド・オダリスクなどが分かりやすい例です。

 

まとめ

 18c末〜19c初め

・第一期

 前時代の女性的・繊細・華美なロココ美術の反動からくる、男性的・厳粛な古典的様式への回帰。

 絶対王政→民主主義へ

 「集団と個人」「男性性と女性性」を、ローマの歴史を題材に描く。

・第二期

 ジャック・ルイ・ダヴィッドによるナポレオンの英雄的プロパガンダ芸術。

・第三期

 新興ブルジョワのための耽美主義。

 中近東の風俗・風景への関心が高まり、オリエンタリスム。

 

お疲れ様です。