雪花伽

たぬきと添い寝したい。

バベルの塔展〜ボスを超えて

ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲルバベルの塔」展

16世紀ネーデルランドの至宝-ボスを超えて-

2017.9.24 @国立国際美術館

 

美術展は一編の物語である。

という言葉が思い浮かびました。

 

ブリューゲルといえば、ネーデルランドの世俗を描いた農民画家のイメージがあります。

ちなみにブリューゲルは親子二代が画家で、ブリューゲル(父)とか書かれたりすることもあります。

バベルの塔を描いたのは父のブリューゲル一世です。

 

第1章は16世紀ネーデルランドの彫刻作品を展示しています。

画家とは関係ない作品で、時代背景はこんな感じだったんだよーというのを説明するのはよくある展示構成です。

あと入口なのでこの辺りは混みます。

 

私の考えなのですが、美術展って全ての作品に対してというより、

ある数枚の気に入った作品を見るがためにお金を払うものだと考えていて、

貧乏性を発揮して全部を見ようとは思いません。興味がなければすっとばします。

 

第2章からは宗教画です。

美術というかヨーロッパとキリスト教は切っても切り離せないんだな、としみじみ思います。

 

第5章は本筋から逸れて同じネーデルランドの画家、ヒエロニムス・ボスを取り上げています。

ボスとは誰ぞやということなのですが、

別名・奇想の画家と言われ、想像力を駆使した魅力的な怪物を描きました。

 

その後、ボス・リバイバルといってボスの画風を模倣する画家が多く現れました。

ブリューゲルもその一人で、第6章ではボスのような怪物画も描いていたことが示されます。

 

ブリューゲルって中野京子さんの『怖い絵』に出てくる

『絞首台の上のかささぎ』『ベツレヘムの嬰児殺し』とか

農村風景画のイメージしかなかったので意外です。

 

第7章は版画です。

それにしても宗教画、怪物画、風景画と多芸だったんだなーと分かります。

そして『バベルの塔』の展示室に突入します。

 

目玉作品『バベルの塔』の前は列整理されていました。

最前列で見たい人は並んで、後ろからでもいい人は自由に見ていいという感じです。

 

バベルの塔』は人が潰れるくらい細かく描かれているのですが、

それ一枚を見ても当時の建築様式など、色々な発見ができるそうです。

 

バベルの塔が当時巨大な建物であったローマのコロシアムなどからインスピレーションを得ているとか、

上に行くにつれての様式の違いで年月を表現しているとか目から鱗でした。

 

 

結論としてはブリューゲルは多芸で、

宗教画(人物)表現、ボスのような怪物表現、風景表現を総動員してこの傑作『バベルの塔』は描かれているよ!! ということなのです。

 

 

美術展って一本の映画なんですよ。

美術ファンって純粋な視覚の愉しみも求めてるけど、この一本の筋が通ってることに気づいちゃった人たちがそれなんじゃないかと思います。

 

最初は「よくわからん」「ハズレかなー、それにしても人多い」

となるのですが、後半になるにつれて全てが繋がっていき、

作者の全体像と学芸員の伝えんとしたことが浮かび上がっていくのは、美術鑑賞の醍醐味というか快感ですよね……。

 

今までそういうのがあったのは、京都市美術館ゴッホ展とか、MoMAKの北大路魯山人展あたりですかね……。

近代以前の美術ってすごく好きってわけではないのですが、この展覧会は結構当たりだったんじゃないかと思います。

  

これだから美術館巡りはやめられないのである。

 

バンドルフォントで小説を組んでみる

本を作るならフォントにもこだわりたいけど、どれを使おうか。

(というかどれも一緒に見える……。)

 

文字一つ一つを見るとどれも一緒に見えますが、文章になると結構印象が違って見えます。

 

拙作「まやかしの月」をOSにあらかじめ搭載されているバンドルフォントで組んでみました。

 

ちなみに表題はフリーフォントうつくし明朝です。

 

まずは明朝体を選びましょう。

本文はフリーフォントではないちゃんとしたフォントを使ったほうがいいです。

フリーフォントは文字数が足りなくて、思わぬ字が表示されない! ということになりかねません。

 

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MS明朝

 とりあえずのMS明朝ですが、DTPではあまり評判が良くないようです。

 組むと文字間がパラパラしたような印象は否めません。

 

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游明朝体

 最近Windowsで使えるようになった書体。

 字游工房が作りました。

 ひらがなが小ぶりでクラシカルな印象。大正時代の近代小説とか組みたいですね。

 字游工房ではひらがなの下書きを筆で書いていて、筆文字の趣を感じる清らかなひらがなです。

 

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ヒラギノ明朝

 Macに搭載。

 SCREENより発売。字游工房の鳥海氏が関わりました。

 游明朝体よりもやや粒が大きめでモダンな印象になっています。

 

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小塚明朝

 Macに搭載。

 新ゴの生みの親・小塚雅彦氏が作りました。

 漢字、ひらがな共に大きめで、明るくモダンな印象を受けます。

 

ちなみに「まやかしの月」は小塚明朝を選びました。

 

本文用の書体の場合は漢字よりもひらがなが小さめのフォントを選ぶと読みやすいです。

私たちは日本語の文章を読むとき漢字を拾い読みしているからです。

 

小塚明朝は漢字とひらがなの大きさの差が小さく、やや本文としては読みづらさがあります。

一方、ヒラギノ明朝・游明朝体のひらがなは単体では美しいですが、

筆の筆脈が本文として読んだときにはうるさく感じられるかもしれません。

 

まやつきは現代芸術をテーマにした学園ものということで、

美術館のホワイトキューブを連想させる無機的な小塚明朝をあえて選びました。

 

ご参考になれば幸いです。

アジア回廊

2017.8.26 東アジア文化都市2017 アジア回廊@二条城/京都芸術センター

 

初めて芸術祭に行きました。

二条城と京都芸術センター(元明倫小学校)を舞台に、アジアの芸術を紹介しています。

 

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《涅槃》チェ・ジョンファ

 巨大な大根のオブジェです。

 この作品には元ネタがあって、

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 伊藤若冲『果蔬涅槃図』を再現しているようです。

 それにしてもどうして若冲は野菜を描いたのか。

 

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《風》久門剛

 二条城の東南隅櫓でのインスタレーション

 ガラスケースの中で振り子のように揺れる電球。

 二階からは雷鳴と風の音が聞こえます。

 なんかこのガラスケースの一つ一つが人間存在みたいですね。

 

 床に座ってぼーっと眺めていると、

 嵐の夜に家の中にいるような謎の安心感があって眠くなります。

 

二条城では日本建築の独特な意匠、京都芸術センターでは元小学校という、

場の特徴を生かしたインスタレーションだったと感じました。

怖い絵展〜どうして。

2017.8.15 怖い絵展@兵庫県立美術館

 

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一言でまとめると、

ひどい時代だ。

 

中野京子さんの『怖い絵』シリーズを元に企画された展覧会です。

もう10年経つんですね……。

 

『怖い絵』シリーズはグロとかスプラッタなど直接的な怖い絵というよりは、

普通の絵だけど、物語や作者の背景を知るとじわじわ怖い、という絵を紹介した本です。

 

特にエッチングリトグラフがよかったです。

 

私的ベスト怖い絵は、アンソール『大聖堂』です。

大聖堂の下に群衆が描き込まれているエッチングなのですが、

表情までものすごく細かくて、画家の狂気というか執念を感じる。

 

あとセザンヌの『殺人』が来ててすごい。

セザンヌ印象派に感化されるまでバイオレンスで根暗な絵ばっかり描いていました。

 

絵が怖いというか、実際に過去のヨーロッパはこんな感じだったというのが分かって怖いです。

ひたすら理不尽な光景が続く。

 

これほど疲れた展覧会は初めてです。

解説が肝なのでそれを見るのに人がごった返していて。出てくる頃には3時間経っていました。

 

・おまけ

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ANGIEマカダミアナッツパンケーキを食べました。

フロインドリーブのクッキーもおすすめです。

死なない命

2017.8.12

コレクション展2 死なない命

日々の生活-気づきのしるし Everyday Life - Signs of Awareness

ヨーガンレール 文明の終わり Jurgen Lehl The End of Civilization

金沢21世紀美術館

 

・死なない命

 遺伝子工学人工知能の発展によって、生命=死ぬとあながちには言えないご時世、

 死なない生命についてのコレクションを展示しています。

 

《わたしは人類》やくしまるえつこ

 微生物の遺伝子を楽譜に見たて、ご自身が作曲した音楽を遺伝子組み換えによって微生物に持たせています。

 スクリーンの映像と女の子が歌う歌は、書き込まれている音楽なのでしょう。

 

 人類が滅亡した後、ボイジャーのゴールデンレコードのように、

 何らかの知的生命体がそれを解析してくれることを期待しています。

 

 目の前ではその微生物が培養されていて、音楽に合わせて緑色の液体が揺れています。

 音楽を記録するために遺伝子を弄られて増殖させられてって、

 微生物の命の尊厳みたいなのを考えさせられます。

 こういう倫理を問う問題ってわくわくする。

 

《セイレーン》イ・ブル

 セイレーンとは上半身が人間の女性、下半身が鳥で、その歌声で船乗りを海に引きずり込む、ギリシャ神話の死を誘う怪物のこと。

 翼のある白い彫刻が上空に吊るされています。

 顔はなく、蛾のようであるかと思えば、機械のような部品もあり、鉤爪もあり。

 グロテスクなようで優雅でもある。

 美しく不気味な怪物の姿を現代的に表現した作品。

 

・日々の生活-気づきのしるし

 普通に北欧のデザイン展をやると思いきや、やはりここは現代アートの美術館でした。

 しょっぱな、無印良品の商品のラベルを50倍に拡大したものが床一面に展示されています。(何故拡大した。)

 

 もちろん家具や食器も展示してあって、『デンマークデザイン、いい……』ってなります。

 

 いつものマイケル・リンの《市民ギャラリー》が改装中で、代わりに北欧と日本の名作椅子がずらりと並んでいました。

 自由に座ることができます。

 

・ヨーガンレール 文明の終わり

 ヨーガン・レールさんは沖縄で制作活動をされていましたが、

 海岸に打ち上げられるごみを深刻に考えていました。

 ごみ問題を訴えるために制作したのがごみを作って造られた照明。

 美術館の第13展示室いっぱいに展示されたカラフルな照明に思わず、歓声をあげてしまいます。

 正直ごみからこんな美しい作品が生まれるとは。

 

・おまけ

 『フルオブビーンズ』でハントンライスを食べました。

 ハントンライスとは、金沢名物の洋食(と英語で書いてあった)で、

 オムライスの上にタルタルフライが乗っています。

 

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 サラダがついてきて健康的。

 

 それからひがし茶屋の『茶ゆ』でしょうゆ味のアイスを食べました。

 みたらし団子みたいな感じで程よい塩味でおいしかったです。

 

お疲れさまです。